ポスト精神医学5  hometreatment 居住医療に至る歴史2

  • このフォーラムに新しいトピックを立てることはできません
  • このフォーラムではゲスト投稿が禁止されています

投稿ツリー


前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/5/7 17:22 | 最終変更
jksadmin  管理人   投稿数: 43
デルナー博士に関する最新情報の第2弾である。今回はaertzteblattと云う医師向け専門誌からの記事である。Birgit Hibbelerブリギット・ヒッベラー医学博士がインタビューをしているものである。2014年01月31日に行われている。質問はかなり専門的な視点である。デルナー博士は15年間で2000回の啓蒙活動を行っているが、インタビューは、そこから掘り下げられている。内容からするとかなり深いインタビューと思われるが、掲載されたものはダイジェストと推察される。記事の量が少なく、質問の関連性が薄いのである。しかし、居住医療の歴史を理解するには本質的な内容が含まれているので、掲載した次第である。更に居住医療への転換は高齢者の人口比率がWHO2013発表によると、ドイツは26%である。この為入院や施設医療は社会家計を大きく圧迫するものと成る。社会改革者として大きな評価をされるデルナー博士の貢献はドイツの未来への貢献ともなっている。訳者は、この下りを訳しながら、日本は31%で世界一の高齢者比率と成っており、日本の未来を暗示され背筋が寒くなっている。居住医療の日本での実現を改めて決意した次第である。

img5369e964288e4.jpgimg5369e9642ca6f.jpgimg5369e9642d08f.jpgimg5369ed8f76dd2.jpg

 少々お断りを。今回の記事はインタビューそのもので応答のみである。会話と云うのは、柔軟な表現や言葉の使用が成されるのが普通である。従って、翻訳に取っては甚だ手強い。最近の言葉、ドイツ語特有の造語、更に専門的表現等である。どう云うニュアンスなのかが分らないと意味が汲み取れないので、訳者の意訳の比重が高いものと成っている。この為原文と訳文が対照しにくい点をご容赦頂きたい。
原文は以下のサイトから得ている。
http://www.aerzteblatt.de/archiv/153470?src=toc

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Interview mit Prof. Dr. med. Klaus Dörner, Psychiater: "Fürs Helfen ansprechbarer geworden“
精神医学者 クラウス・デルナー博士へのインタビュー ”支援に関してもっと敏感に成らなければ”


img5369e9642d678.jpgクラウス・デルナーは医療の根本的な変化をドイツでの啓蒙活動*1で示した。近隣地域での公益に尽力する為の準備を整えていたのである。

支援による貧困 に対する国民的な問題への関与は、将来の社会ための重要な課題になるのでしょうか?
デルナー:この問題へ関わる事は、ますます重要になっています、将来的に危うい状態に成っており、解決の為に支援の仕事に取組む事がもっともっと必要です。近隣地域の住民が結集して自分たちで対応しなければならず、援助について協議し取組む事が相当重大な事になっているのです。私のドイツに於ける啓蒙活動では人々に常に繰り返し質問して来ました、何故自分達の貴重な時間を無駄にするのか、何故自分達で力を尽くさず、他の地域の人たちを当てにするのか。そうすると大体次の様な答えが返ってきます:以前は拒否してきたが、もはや援助についての取組みを拒否するのは相当まずいと思う。当たり前の事を当たり前にやってなんとかするのが、いいと思う。

博士は”援助による貧困”*2でこの問題を見抜いて云っておられるのですか?
デルナー:そうですが、だからと云って慈悲を行って見返りの無い満足で我慢しろと云う事ではありません。多くの場合取り組めばとても普通に健康にとって大事な事を得られるのです。一寸若い年金生活者で考えてみると、普通自分の時間を全て自分の満足を得る為だけに何かをするのは虚しくなります、もっと誰かの為に何かをしたくなります。この虚しさと云う精神的負担を負っていると病気に成ります。 人間にとって、精神的負担を除く事は新たな健康的な精神を保つことになります。利己主義と利他主義が互いに入り混じって良い方向に変化して行くのです。

ドイツで実際に社会的な運動として何か変化が起こったと云う事について確信がありますか?
デルナー:それは確実です30年に亘って変化が起こっています。私の考えでは我々は時代の大転換点を生きています。長い間に様々な事柄が明らかに成り、意味が分ってくるのです。今分ってきた事は人口統計学的な変化が起こっており、問題に直面している段階だと云う事です。 何かと云うと、今や高齢者が急増しており、この現象が我々を包囲している事について真剣に考える必要があります。

過去において、援助を受ける事と個人として人間らしさを保つ事というテーマは、専門家だけの問題だったのでしょうか?
デルナー:そうです、そして専門家は多数の人々への高齢者の急増の視点を軽んじ、個々の人々の健康への対応だけに目を向け、問題の所在を見逃していたのです。そうこうしながら、専門家は援助の改革には手が回らず、其のままでも構わないと云う判断を取ったのです。その為に残念ながら我々は、議会が期限付きで個人向けの施設建設を止める事を決めたデンマークの様には成れませんでした。 デンマークは、高齢者の介護を外来のグループホーム中心に代えるのを強制的に行いました。

ドイツは具体的にどの様な取組みを始めるべきだったのでしょうか?
デルナー:やれたのであれば、ベストは可能なだけ長く施設建設を続ける事に、政治が巻き込まれないようにすべきだった。今更だが施設による介護に関して、全てを転換し外来に代えるべきであり、施設滞在や入院と云う介護はできるだけ避けるべきです。だから特に施設を多く持つ、地方自治体は協力しなければならない。施設が廃止されれば、土地や不動産が自由に転用出来、介護の業務構造を代える事が出来ます。施設は二度と増やしてはならない、さもないと介護が機能しなくなってしまう。我々は施設ではなく、良き市民と専門家の組合せによる支援を必要としているのである。

このプロセスでは医師はどの様な役割を果たす事が出来るのでしょうか?
デルナー:医師はこれまで品よく控えめにしてきた。介護の構造にメスを入れるのは医師のテーマでは無かった。その点でローデンタールのヴォルフガング・ハゼルキュスは開拓者である。彼は外来中心による介護のやり方で尽力している、数少ない医師の一人です。医師は患者の病気だけではなく社会的な領域の医療の在り方についても関心を持つ事です、それによって治療も良くする事が出来るのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
注釈
*1. 15年間で2000回の指導助言ネットワークづくりを行う、原語はReisenで旅である。
*2. K.Dörner"Helfensbedürtig援助による貧困(2012)”これまでの精神障害者に対する施設療養は貧困を増すものである、との問題提起している。


  条件検索へ