ポスト精神医学6 hometreatment 居住医療に至る歴史3

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/5/25 10:32
jksadmin  管理人   投稿数: 43
img538140b6cf779.jpg デルナー博士の臨床医としてのキャリアは、1970年ハンブルグ市の北部エッペンドルフのハンブルグ大学付属病院精神科から始まっている。1960年代から70年代は、学生運動が世界各国で展開され、ドイツでも活発な活動が行われている。ルディ・ドチュケは当時のリーダーとしてよく知られている。運動時の負傷がもとで若くして亡くなったが、10年ぐらい前に彼の歴史的功績が評価され、ベルリンの中心街にルディ・ドチュケ通りが設けられている。直接の繋がりは無いが、学生達への共感もあり、デルナー博士は大学での仕事の限界を感じ、1979年象牙の塔を離れ、1980年グーテルスローのヴェストファーレン精神病院の院長に就任し、居住医療に至る改革の端緒を開いている。
 グーテルスローはデュッセルドルフから列車で一時間強のドイツ北西部の小都市である。精神科医ヘルマン・シモンが1905年に開院している。市の郊外に在り、後楽園ドームが三つか四つは入りそうな位の広大な敷地である。62の入院病棟と関連施設が点在している。診療所・病棟・レストラン・カッフェ・教会・体育施設・プール・庭園・集会ホール・墓地等、集落としての機能をほとんど備えている。従って此処は長期入院が前提であり、長期とは10年20年50年の事である。生涯を此処で過ごす事が可能である。
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 FAFのペーター・シュタットラーが編者である「統合企業の発展」*1ではドイツの最初のソーシャルファームとしてDalke*2の創業者Helmut Landwehrヘルムート・ランドヴェールとRolf Simonロルフ・シモンへのインタビューが掲載されている。二人は障害者の作業所で働いていたが、1981年9月1日にグーテルスローで6人の人達と”Selbsthilfefirmen" Dalke自助会社ダルケ(市内を流れている川の名から取られている)を設立している。仕事はMieleミールの洗濯機の組立て工場である。彼らは自分達の設立を”精神障害の蜂起”と云っている。何故なら、”この設立の根本的な考え方はデルナー博士からの教えと示唆によるものなのである。だから自分達と博士によるものとして、3人が設立経営者として名前を連ねているのである。”と証言している。着任後1年で起業家に影響を与え、就労を重要な治療とする実践が始められているのは驚異的である。博士の取組みは、就労治療での改革と云う命名も成されている。Dalkeは2014年5月現在社員60名で経営は引き継がれ、ミールの組立てを初め住宅関連の組立て等業容を広げ、事業は発展中である。グーテルスローでの実践が、ドイツのソーシャルファームであるIntegrationsfirmen統合企業の萌芽であり、”グーテルスローの奇跡”として、社会改革を促したのである。入院治療から就労治療そして居住医療への変遷は斯くして、始ったのであるが、尚博士の10年掛りの苦闘は続くのである。
img538140b6decb1.jpgimg538140b6dd1a1.jpgimgc5ebff81c0ba1bbaa1f4c.jpg
*1 Die Entwicklung von Integrationsfirmen(2005)Peter Stadler/Chritian Gredig
   FAF gGmbh,Berlin ISBN3-00-0156-1
*2 http://dalke-dienstleistungen.de/

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