ポスト精神医学8 「意識改革(2) 休暇旅行での変貌」その1

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2014/8/13 13:11
jksadmin  管理人   投稿数: 43
img538e700a1ff46.jpg 精神障害の患者だけの外国休暇旅行と云うのは前代未聞である。今回はデルナー博士による休暇旅行のドキュメントを掲載する。患者達の様々な行動を微細に観察し記録されたものである。以下に9月9日から16日の休暇の前半を抄訳したものを掲載し、内容は記録と参考資料”参加者一覧”だけに留めている。この記録を辿る事によって居住医療の原点を伺う事が出来る、と判断しているためである。

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参加者名(仮名)年齢障害名(原文の直訳)メモ
frau Ahlert
アーレルト夫人
48geistig
精神障害
WLKで色々な病棟に移り、現在L病棟で時々攻撃的に成りながら回復に向かっている、お喋りで多少助けがいる
frau Bauer
バアオアー夫人
56panische
Angst
パニック障害
東プロイセンからの脱出の犠牲者で、長い間施設に居り、パニック不安である、10年ぐらい前から孤独への不安から女性寮で仕事をしている
frau Cramer
クレーマー夫人
65warmeherzig
schraeg-verschribene
Aesserungen
季節症及び過食症(?)
18年間施設で暮らしている、暖かくなると奇妙な発言をする、と云う病状である
frau Dietzel
ディーツェル夫人
66schwer hoegeschaedigt
psychotischer
聴覚障害と精神障害
戦後ポーランドからベストファーレンへ。聴覚障害と精神障害で70年代の終りからWLKにいる
frau Erdemann
エルデマン夫人
51psychotisch mit heftgsten
Erregungszustaenden
興奮状態を伴う精神障害
1958年東のポンメルンからの移住者、結婚後二人の子供がいて、一緒に暮らしたがっている。いつも幻聴で苦しんでおり、不安と妥協の間を行き来して生きている。
faru Fisher
フィシャー夫人
65psychotisch、depressive
精神障害と鬱病
25年間WLKで暮らしている。混乱の時代に幼年時代、思春期そして結婚経験し、悪い運命に見舞われて生きている。飲食によって不安を紛らわす傾向。
herr Gaus
ガウス氏
58lern,verhaltenbehinderut
知的及び行動障害
戦争で家族を失い、ナチ時代にWLKに押し込められ、長く引きこもりの患者だった。鬱的な症状が改善されると行儀が良くなり、新しい事への関心が広がる
herr Halbich
ハルビッヒ氏
80psychotisch,zwangssterilisiert
精神障害、強迫神経症
30代から精神障害、強迫神経症、1940年からWLK、20年前から老人施設で病棟の料理人を務め、患者達に貢献し慕われている。
herr Ihle
イール氏
70schwer hoergeschaedigt
geistig
聴覚及び精神障害
聴覚及び精神障害、戦後からWLKに入院している。ここでの生活を愛し、楽しんでいる。トーマ女史と仲良くやっている。
herr Jakob
ヤコブ氏
58psychish
精神障害
戦争中ロシアの捕虜と成り、発症。1955年から西側に戻り短期的な仕事をしている。WLKでは機織りの仕事をしながら両親の墓守をしている。おとなしい傾向である。
herr Kaup
カウプ氏
70psychotisch
精神障害
戦中は政治的な影響を受けて、農夫であったが兵士として従事した。50歳ごろにWLKに入院。病気は尚進行中である。
自分は永遠の若者で人類と世界を刷新すると云っている。
herr Linke
リンケ氏
46psychotisch
精神障害
東プロイセンからの脱出の犠牲者で、長い間施設に居り、パニック不安である、10年ぐらい前から孤独への不安から女性寮で仕事をしている、病状は安定していない、感情が傷つきやすい傾向、攻撃的な傾向もあるが自信もある。世間への興味は大きい
frau Maute
マウテ夫人
72schwer hoergeschaedigt
lernbehindert
聴覚及び知的障害
聴覚及び知的障害、12歳から支援家族が無く施設に居た。1941年以来WLKにいる強情で、お金にうるさく、周りには敏感である。
frau Neuber
ノイベル夫人
62psychotisch
精神障害
1945年にプロイセンで強姦に遭いその恐怖で発症。1950年代にWLKに入院、2年前から病院外の住居で暮らしている。現在は病棟の清掃の仕事をしている患者である。
frau Olfert
オルフェルト夫人
71psychotisch
精神障害
プロイセンのシュレジエンで2人の子供と共に最悪の状況を体験し発症。40年WLKにいるが、現在は病院外で暮らし、ミールの工場で仕事をしている。
herr Printz
プリンツ氏
48lernbehindert、psychotisch
学習障害、精神障害
25年間WLKにいる、清掃の仕事をしている患者である、色々とやってみるが、止めないとのめりこむ傾向。
frau Pflug
プフルーク夫人
50psychoseaenliche Aeusserungen
精神不安による過食症
人生のほとんどを施設と病院で過ごしている。数年前から変化を起こしている、自分を新たにする為に。
herr Riedel
リーデル氏
45Psychosen
精神障害
1945年のプロイセンのシュレジエンを6歳で体験、1960年発症、70年代の終りからWLKにいる。繊細な人でいつも人生で起こる事について模索している。
herr Schulz
シュルツ氏
68psychotisch
精神障害
西プロイセンで育ったが、戦争で根無し草になった。1963年発症、18年間WLKにいる。一度老人寮に入ったが良くなかった、一人で十分暮らせるのであったから。現在自分の住宅で暮らしている。
frau Thoma
トーマ夫人
46geistige und sprachebehinndert
精神障害、言語障害
1978年からWLKにいる。仕事は嫌がるが、イール氏と友達で彼がする事は一緒にする、自分の世話は自分で十分できない。
frau Uhde
ウーデ夫人
41geistige und sprachebehinndert
精神障害、言語障害
1951年8歳から施設にいる。時々発作を起こすが、施設で仕事をしていると納まっており、グループとの行動がよさそうである。
herr Vogel
フォーゲル氏
50geistig u. verhaltens
behibdert
精神及び感情抑制障害
精神及び感情抑制障害、10歳の1943年から施設にいる。
遅い思春期を送り性的障害があり去勢され、最終的にWLKに来て安定している。
herr Wunder
ヴンダー氏
71psychotish
精神障害
軍隊時代に発症、1939年以来WLKにいる。現在はWLKで働いておりグループと家族的なつながりの住宅で暮らしている。老人たちへの奉仕を行い公的な意識で働いている。
frau Schneider
シュナイダー夫人
63psychotish
精神障害
WLKに50年代からいる、3年前から自分の住宅で暮らしている。去年グループでスペインに旅行している。人生が好転している。
frau Suck
ザック夫人
48psychotish
精神障害
10年来精神障害である、一年前からグループホームで暮らしている。物事への距離の置き方が難しいので、しょっちゅうぶつかる
herr Zander
ザンダー氏
52geistige und sprachebehinndert
精神障害、言語障害
オーベルシュレジ‐レンからの脱出者、感情抑制障害もあり1948年以来施設に居る。WLKには1955年21歳からいる。見た目の良さと能力の低さのギャップに悩みつつ生きてる。
平均年齢58.5

付き添い
看護師
ケッディング氏
ブリンク夫人
グンジェビック夫人
ホフマン夫人
医師
デルナー博士





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”来るのが遅いよ”より
第4章 ”おかしくなっている暇は無かった”
 休暇旅行報告 クラウス・デルナー

1984年9月9日 日曜日
5:00 グーテルスロー出発、バスとデルナー博士の乗用車で。
ミュンヘンからオーストリアを経てアルプス越えをし、トリエステに到着。トリエステでは患者協同組合の協力で3人の看護師と宿舎が提供された。
1100kmの旅でオルフェルト夫人とバオアー夫人が吐いたが、その他は問題無し。

9月10日 月曜日
トリエステからユーゴスラビアの国境を超え、海岸沿いに600kmを経て、夕方マカルスカのベットが400ある”ビオカフカ”大ホテルに到着、トイレ付きの部屋で滞在が始まる。
終わってからの話だが、このホテルでは患者の”夜の徘徊”は一切無かった。
最初の夕食はペンション風のレストランで取った。気候はかなり暑い。夕食後はテラスでポピュラー音楽が奏でられている。リンケ氏は突然誰かに襲われるのではないかと恐れていたが、ボンボン(飴)を舐めながらで落ち着いた夜を過ごしている。
ドクターの車に同乗したガウス氏は趣味の事、WLKでの入院経験、そして戦争中にロシアの戦車に追われた事等を話していたが、海岸沿いの走行になると、初めての景色アドリア海を楽しみ、初めての自由な旅に目を開き始めている。

(その2へ続く)
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